2005年12月01日

こんな夢を見た

夢の中で僕は6歳だった。



母親に連れられて、近所の公園に遊びに来ていた。



季節は秋。遊びたいのになんだか早く日が落ちる。



夕日に照らされた木々の脇を抜け、母親の元へ帰ろうとした時、



並木に並んで設置されているベンチの一つに、1人の老人が腰掛けているのを見つけた。



彼は煙草を吹かしながら、視線をどこにやるでもなく、そこらへんに漂わせていた。



確かに生きている、生きているのだが、どこか死んだ人のようなオーラを彼は纏っていて、



6歳の僕はかつて感じたことのないそのオーラに惹かれるように彼に近づき、







そして、話しかけた。





















おじちゃん!おじちゃん!

何でこんなところに座ってるの?












それはね、この公園のこの場所から見える夕日がきれいだからだよ









老人は突然の質問に驚くこともなく、淡々とそう答えた。



しかも、まるでなんと質問されるのかあらかじめ知っていたのような口ぶりだった。



そしてそれ以上何も答えないまま、宙ぶらりんだった彼の視線は、



何mか離れた隣のベンチに静かに向けられた。















おじちゃん!おじちゃん!

あそこのベンチでお兄さんとお姉さんは何をしてるの?






それはね、きっとおままごとして遊んでるんだよ









彼の声には確かに、何かをあざけるような響きを含まれていた。



ただ、6歳の僕はそれに気付かず、ただ無垢な質問を続けた。













何であのお兄さんはお姉さんの方に手を回してるの?







それはね、肩にごみがついてたんだよ









あ! お兄さんがお姉さんとギュッギュッしてるよ

きっと仲が良いんだね!!












あぁ、きっとそうだろうね・・・









ねえ、おじちゃん。。。









やめろ。



俺は叫んだ。



でも、僕には届かない。



6歳の僕は、自分が言おうとしている言葉がどれだけ人を傷つけるか知らなかったのだ。



僕は、あまりに無垢だった。



























なんでおじちゃんはおままごとしないの?









沈黙。



数秒の沈黙の後、老人は笑い始めた。



それは聞いた人を笑わせるでも、怒らせるでも、不快にさせるでもない、



哀しく、切なくさせる笑い声だった。



彼は質問に答えず、こう言った。

















ボウヤ、君は大きくなったら1人でご飯を作れるようにならなきゃいけない。



なぜなら、君にご飯を作ってくれる女性はいないからだ。







ボウヤ、君は大きくなったら1人で家事をすべてできるようにならなきゃいけない。



なぜなら、君の服をたたんだり、部屋を掃除してくれる女性はいないからだ。







ボウヤ、君は大きくなったら1人で寝れるようにならなきゃいけない。



なぜなら、君の隣で寝てくれる女性はいないからだ。









ボウヤ、君は大きくなったら1人で強く生きていかなきゃいけない。



君は数え切れないくらいフラれるんだ。



フラれてフラれてフラれまくるんだ。



時には悪い女にひっかかって騙されたりもするんだ。



友達が彼女とイチャイチャしている間に、自虐と下ネタまみれのブログ書くんだ。



初体験は大学卒業記念に非モテ友達と風俗に行って、金をケチったばかりに山●花子みたいな女とやることになるんだ。



友達の結婚式に呼ばれては、帰って1人で酒飲むんだ。



友達が初めての子供を授かった時、出会い系に手を出して初めての素人に金ふんだくられるんだ。



友達がちょっとぐれてトイレで煙草吸っちゃった反抗期の子供と悪戦苦闘している時、イメクラで「女子高生でお願いします」とか言ってるんだ。



友達が初孫に会いたくて病院に駆け込んでいる時、初吐血で病院に担ぎ込まれるんだ。









だからっ・・・だから・・強く・・・強く生きるんだぞ・・・












気付けば、老人の吸っていた煙草の灰は全て落ちていた。



心なしか老人の身体がぼんやり透明になっていた。



最後に何かつぶやくと、彼は霧のようになって、そして消えた。



6歳の僕には老人が最後につぶやいた単語の意味は分からなかった。



でも、俺は知っていた。十分すぎるほど知っていた。



老人は































「ヒモテ」









と言ったのだ。



夕日がまぶしかった。
posted by れご at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 非モテネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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